Synclavier V

デジタル・ドリームマシン。

リシンセシス
再構築するシンセシス

1983

リシンセシスの誕生。

オリジナルのSynclavierは、新興デジタル楽器市場におけるNew England Digital社のライバルでした。当時、画期的ではありつつも原始的だったオーディオ・サンプラーに対抗するため、キャメロン・ジョーンズと彼のチームは、サウンドを再現するにあたり、全く新しいオーディオ技術を開発しました。Synclavierは、低メモリーでローファイなコンバーターを備えたサンプラーに頼るのではなく、オーディオを数学的に分析し、「再構築するシンセシス」を使用したのです。

2018

リシンセシスの再臨。

バージョン2により、Synclavier Vはこれまで世に出た中で最も本格的で多彩な機能を搭載したSynclavierのエミュレーション・ツールとなりました。ハードウェアの制限を気にすることなく、キャメロン・ジョーンズが思い描いたように、Synclavier Vのサンプル・プレイバックとリシンセシス機能をクリエイティブに音楽制作でフル活用することができます。

強力な新機能、シンプルなワークフロー

今日では高性能コンピュータが多く誕生したおかげで、簡単にサウンドをリシンセシスすることができますが、今回アップデートされたサンプリングとリシンセシスの背後にある技術は、オリジナルのSynclavierが市場に出回った当時は、まだ存在し得ないものでした。

オリジナルのサンプルをインポート

新しいサンプルプレイバックとリシンセシス・エンジンでは、まずオーディオ・サンプルをインポートします。シンセのブラウザでファイルを指定するか、OSやDAWからドラッグ&ドロップするだけでOKです。Synclavier Vには、オリジナル・ハードウェアのサンプル・ライブラリーを含む、数百種類ものサンプルが収録されています。

ビンテージ・サウンドで演奏

インポートされたサンプルは、ビンテージのデジタル・サンプラーと同じ質感で再生されます。そしてシンプルながら効果的なアルゴリズムで、ピッチを高くするとサンプルは速く再生され、ピッチを低くすると音は伸びます。パッド、パーカッション、アタック音、特殊な効果音の作成に最適です。

サンプルをシンセ・サウンドに変換

ボタンをクリックするだけでリシンセシス・エンジンが作動し、サンプルの特性が分析され、即座にシンセサウンドに変換されて演奏できます。そして、自分だけのサウンドをとても簡単に作り出すことができます!

サウンドを洗練させ、進化させる

Synclavier Vの自動検出機能を使用してサンプルを再合成させるか、手動でサウンドのキー・ポイントを特定し、特定のテクスチャーやアーティキュレーションに焦点を絞って、とてもユニークで個性的なシンセ・サウンドを作り出すことができます。

マニアックな話について

リシンセシスとは、シンセサイザーを使用してあらゆるサウンドをエミュレートする手法のことで、シンセサイザーのコントロールの利点をすべて生かしながら、原音のトーン・キャラクターを得ることができるものです。

リシンセシスを実現するために、Synclavier Vは30秒までのオーディオ・サンプルを分析することができます。このサンプルは、鳥の鳴き声からクルマのエンジン音、サックスから悲鳴まで、何でも構いません。サンプルを読み込むと、Synclavier Vはオーディオの特徴を定義するキーポイントを自動的に設定します。

また、これらのキーポイントを手動で削除、追加、調整し、好みのサウンドに仕上げることもできます。ウェーブテーブル・シンセシスとFMシンセシスのユニークな組み合わせにより、Synclavier Vはサンプルの「点と点をつなぎ」、シンセサイザー・バージョンのサウンドを作り出します。

オリジナルのトランペット

Arturia

オリジナル実機のNEDサンプル・ライブラリーに入っていたサウンド・ファイル「4 Trumpets Unison」を使用したサウンド。

リシンセシスされたトランペット

Arturia

自動リシンセシスを使用して同じサウンドに再合成されたシンセティック・バージョン。

この新しい、完全にシンセサイザー化されたサウンドは、通常のシンセサイザー・パッチと同じように演奏することができます。ADSRのエディットやオシレーターの調整、フィルタリング、LFOの同期、パラメーターのルーティングも思いのまま。唯一の限界があるとすれば、それは想像力だけかもしれません。

リシンセシスを視覚化して理解するために、ラスター・グラフィックスとベクター・グラフィックスを比較するのがとても分かりやすいでしょう。ラスター、つまりビットマップ画像は、規定のサイズと形があり、拡大縮小や加工には限界があるため、オーディオ・サンプルのようにエフェクトをかけすぎるとすぐに画質が落ちてしまいます。それに対してベクター・グラフィックスは、数式を使用して完璧な線を描くため、シンセ・サウンドのように解像度を失うことなく、拡大縮小やワープが可能です。

Synclavier Vには、New England Digitalサンプル・ライブラリーのクラシック・サウンドが収録されています。元々は15,000ドルで販売されていた1GBの12インチ光学式WORMドライブでしたが、今回オリジナルのルーツを忠実に再現するにあたり、付属することとなり、これによって、新しい世代のミュージシャンにかつてない本格的なSynclavier体験をお届けすることを可能にしました。

素晴らしいサウンドです! 当時の楽しかった思い出が蘇ります。アコースティック・ベースのサンプルのいくつかは、80年代半ばにプロのオーケストラ演奏者だった私が実際に録音したものなのです。

リシンセシスの面白さは、予測不可能な結果が得られることと、たくさんのハッピー・アクシデントがあることです。リシンセシスは、ボーカルやブラスのような持続音には効果的ですが、時には完全に失敗して、元の音とは似ても似つかない結果になることもあります。1983年にダートマス大学で開催したSynclavierサマー・セッションで、私はリシンセシスト・ギターのファズトーンを比較しました。「ある人のディストーション・サウンドは、別のヒット曲と同じ」というのは、今でも通用するんです!

キャメロン・ジョーンズ
Synclavier 開発者

"聴いて
繰り返す"

説明するのもひとつの方法ですが、実際に自分の耳で聴くのもとても大切なことです。

リシンセシスはシンセシスの珍しい形態で、40年以上前から開発されていますが、まだ発展途上です。とても素晴らしく、斬新で、まさにあなたが探していたサウンドかも知れません。我々のサウンド・チームが作成したデモをお聴きください。

Celestial

Simon Gallifet

Synclavier V2だけで制作された複雑なアンビエント・トラックです。新しい機能を最大限に活用したプリセットを使用しています。

New Land

JMB

スネア、ハイハット、シンバル以外のすべてのサウンドはSynclavier V2で制作されています。

Paltan

Victor Morello

エレクトロでメロディックなトラック。このトラックで使用しているプリセットは、Butter、Morphing Chorus、Yet So Efficient、Squary Mellow、Initialize Systemです。ドラムはAbletonのコア・ライブラリーから使用しています。